突撃!目利きインタビュー!!

今年のシブカル祭。で全力女子たちを応援してくれる
“目利き”の皆さんにスペシャルインタビュー!
あんな人からこんな人まで、目利きから読み解くシブカル祭。2013!!!

第7回 青野賢一さん/ビームス創造研究所

13 10.24 UP

プロフィール

BEAMS クリエイティブディレクター、BEAMS RECORDS ディレクター。ビームス 創造研究所に所属し、執筆、選曲、展示の企画運営、大学や専門学校での講義などを通じ、ファッション、音楽、文学、アートなどを繋ぐ活動を行っている。著書に『迷宮行き』(天然文庫/BCCKS)がある。ウェブマガジン『TV & smile』『RandoM』などで連載中。
http://www.beams.co.jp/

Q1
青野さんにシブカル祭。に関わっていただくのも今年で3年目となります。シブカル祭。というイベントを、外からも中からも、俯瞰して見てきていただいていると思うのですが、1年目、2年目とやってきて思うこと、変わったなと思う点を教えてください。
A1
今年は“代変わり”が進んだ年だなと感じました。もちろん新しい人が出てきたこともあるんだけど、過去2回のイベントを経て、次のステップに行ったクリエイターが多いんじゃないかな。シブカル祭。というイベントを通して、孵化して、雛となって育っていくというか。3年もやっていると、それぞれがシブカル祭。以外の場所でも活躍をしているのを見かける機会が増えて、それは喜ばしいことだと思います。そしてまた新しいクリエイターがあらわれて、バトンを渡すじゃないけど、脈々とたすきが受け継がれている気がするんです。なんだか学校っぽいというか、文化祭っぽいじゃないですか。それはシブカル祭。独特なんじゃないかと。しかも、表舞台に出ているような華やかなクリエイターはもちろんだけど、ストイックに腕を磨いてきたクリエイターにもきちんとスポットを当てていて、アイドルもいれば現代美術家もいる、いろんな要素がミックスされた、他のイベントでは成立しないような人選になっているから、それはシブカル祭。の誇れるところだと思います。
Q2
今回は渋谷パルコ生誕40周年ということで、お祭りの規模も大きくなっています。参加クリエイターが増えて、ライブハウスでの音楽イベントも3会場になったり、ショップとのコラボ企画も拡大して……、その分、お客さんやクリエイターの皆さんにもシブカル祭。というイベントが浸透しているでしょうか。
A2
もちろん、していると思いますよ。なにより、若い女の子でモノ作りや表現をしている人に、シブカル祭。というイベントを通じて、「私もやってみたい!」と思ってもらえるきっかけ作りになるプレス活動が大事ですよね。一年目は、まだイベントの認知度も低かったけど、終わってみてあれだけのインパクトを与えたすごさっていうのは、評価していいんじゃないかと思います。そして昨年で倍以上の露出になって、革新的に変化しましたよね。これだけ拡大しているんだ、という感覚は実行委員をやっていた僕たちの中にも確実にあって、「なんだかすごかった」という実感が残りました。
Q3
その“変化した”、と感じていただいた部分をもう少し詳しく聞かせていただけると嬉しいです。
A3
イベント全体でのバラエティ感が良かったと思いますね。僕が最近いろいろなところで言っていることなんですけど、都市に必要なものは“多様性”だと思うんです。つまり、単一の思考や思想からは都市の文化は絶対に生まれてこなくて、やっぱり渋谷は“都市”なんですよ。その中で文化的な活動をやっていこうとしたときに、アーティスティックでストイックなものだけじゃ多分伝わらないだろうし、アイドルだけでも伝わらないだろうし……。雑駁なんだけれど、それぞれある一定のクオリティがあって、その多様性を失わないからシブカル祭。は良いんだと思います。渋谷という街にも、きっと効果的に作用していると思いますよ。よそだったら絶対ウケないじゃないですか(笑)。渋谷の真ん中にある、渋谷パルコでやるからこそ意味があると思います。
Q4
青野さんは普段から、若い女子クリエイターとトークイベントをされたり、ライブで共演されたり、つながりも多いと思うのですが、そういう女子クリエイターたちのライブやアート作品を見に行ったりして、彼女たちから得るものや刺激はありますか?
A4
そうですね、どんなライブや展示を見に行っても、毎回、必ずグっとくるものがありますね。だから自然と、そういう展示の場では、作品そのものや作品集をよく買ってしまいます。シブカル祭。で知り合ったクリエイターのひと達が何か展示をやるって聞いたら、じゃあパルコで表現していたこと以外にどんなことをやるんだろうとか、ちょっと気になるじゃないですが。そういうモチベーションで見に行ったりはしますね。そこでまた違う一面を見ると、さらに興味が湧きます。あとは、僕のオフィスが原宿にあるんですけど、すぐ近くにROCKETやVACANTなど、若手のクリエイターが表現する場があるということも大きくて、気軽に見に行こうと思えるんですよ。普段から、展示やイベント会場に目的をもって行く、ってことはあまりないので、たまたま目にしたものがすごく良ければハッピーだし、そういうものに偶発的に出会えることが楽しいですね。
Q5
10月26日(土)の公園通り広場ステージは青野さんが演出されています。今回見に来てくれるお客さんに感じて欲しいことはなんでしょうか。
A5
今年の見どころは“詩の朗読”です。26日(土)の公園通り広場でのステージでは、前田エマさんや文月悠光さんなど、若い世代で詩を朗読しているアーティストに入ってもらいました。ステージでのポエトリーリーディングはずっと実現させたくて、詩を野に放つようなイメージでやってもらいたいですね。屋外ステージでの朗読は今までのシブカルではやってこなかった新しいアプローチだと思います。日本における「詩」の世界って、どちらかというと内側に閉じているイメージがあるんだけど、新しい世代のひと達は違っていて、それを外に向けて堂々と表現しているんです。だから、偶然通りかかった人の目に触れて興味持ってくれたら、どんどん「詩」の世界も広がっていくんじゃないでしょうか。今後少しでもシーンが大きくなれば、「詩」も他のカルチャーと横並びになる素質はあると思います。

Q6
これからの時代を作るであろう若い女子クリエイターにおすすめしたいモノやコト、またはメッセージをお願いします。
A6
“いいもの”とか“本物”って何だろうって考えながらものごとを見ていくと、けっこう得るものが大きくて、創作活動によりプラスになるんじゃないかと思います。若いうちは、何となく内から湧いて出る物を勢い良く表現して……っていう話になりがちなんだけど、それだとある程度のところまではいけても、そこから先が大変だと思うんです。栄養を入れないと体が動かないのと同じように、ある程度外の世界からインプットしていかないと、アウトプットのバランスが良くならないような気がします。外の世界といっても一概には言えなくて、いろいろな世界があるっていうのを理解しておくのも大事ですよね。インプットも、アウトプットも、本当にさまざまな方法がある時代だから、自分にフィットするようなやり方でやればいんじゃないかと思います。